携帯組み立て工員、オカルトグッズ販売会社、塾講師、保育士、ブラックIT企業などを転々と
日経新聞に「私の履歴書」というコーナーがありますね。
素晴らしい方々がご自身の半生を綴っております。
ところで、僕の経歴は履歴書には書ききれません。
記入欄が足りないのです。
まさに、「黒い履歴書」。たまらんです。
携帯工場工員、オカルトグッズ販売会社、塾講師、悪徳スピリチュアル書籍の出版社、ブラックIT企業、保育士などを転々とする人生。
携帯工場では、ラインに入っていたわけですが、
名前ではなく、「36番」と番号で呼ばれていました。
もちろん日雇いです。
1日で辞めた会社もあるし、でもまあ、3か月続いた会社はありません。
年金手帳もボロボロです。
同僚もワケありの人が多かったです。
僕のように大きな会社から転職してきた人たちは、
必ずなにか「傷のようなもの」を背負っていました。
それは元の会社で法を犯したり、倫理に反した行動をしたり、
精神的な疾患で会社にいられなくなったり、あとはカネがらみの問題を背負っていたり。
でも、僕はそういう人たちと接するのがなぜか心地よかった。
同じ匂いがするから安心だったのでしょう。
彼らも同じオーラを出していれば、こちらを受け入れてくれます。
ただ、ひとつ言えることは、その人たちと一緒にやっていると永遠に浮上できないということです。
僕は職業の貴賎を言っているわけではありません。
どんな仕事でも誇りを持っていれば、輝けるものです。
そうではなくて、傷を背負ったまま、生きるのを諦めた人たちと仲良くしても浮上できないということです。
僕が一番長く続いた仕事は、保育士でした。
一緒にやっている保育士さんたちがハツラツとしていたからです。
またもう一人、大好きな人がいました。
その人は大手新聞社から流れてきた人で、僕の会社のエースでした。
与えられた仕事をただひたすらやる、そして頼まれていない仕事もとってきてしまう。
新聞社に比べたら、給料は半分以下。
それなのに、黙って黙々と仕事をこなす。
そのたたずまいが僕を魅了しました。
その姿は、仏弟子・アッサジのようでした。
アッサジとはブッダの弟子です。
般若心経にも登場するシャーリプトラがアッサジの姿たたずまいを見て、
その生き生きとした姿に魅了され、
すぐさま仏弟子になったという伝説がある人です。
その人はきっとたくさん多くのものを捨て去ってきたでしょう。
お金も地位も恋人も何もかも。
そして小さな会社で修行僧のように仕事をしている。
美しかったです。
僕は人生を投げやりに生きていました。
精神病で、失業していて、ローン地獄・・・。
もう自殺でもするしか、方法がありませんでした。
そんな僕もその人の姿を見ているうちに、
おれにも、まだできることが残っているのではないか。
と思えるようになったのです。
そして今日もこうして生きて、
お世話になった般若心経の素晴らしさをみなさんにお伝えしようとしているのです。