「なんとかなるさー」廃人からの大転換

僕は今日までたくさんのものを失いました。

プライド、お金、仕事、友だち、家族・・・。

誰にも見向きされず、誰も僕の話を聞いてくれない。

もう失うものは、命しかありません。

今日だけ、今日一日しか、僕にはありません。

今日というより、

いま、この瞬間しかないのです。

仏教では座禅という修行法があります。
座禅をするときに心がけるのは、

いまにへばりつくこと

です。
僕の大好きな禅僧の言葉に、

自分の鼻で息をしろ

というものがあります。
いつもこの瞬間に張り付いていろ、という意味です。

僕は絶望していました。
失業して、失業保険も切れ、サラ金のカネで生活をしのぐ日々。

手ぶらでした。

笑ってしまうほど、手ぶらでした。

後悔、憎しみ、苦しみ。
あのとき、ああしていれば・・・。
このとき、こうしていたら・・・。

そんなことばっかり思ってメソメソしていました。
迫る請求書の束、業者からの電話。

しかも自分はうつ症状で、ソファから起き上がれない。
常識的には、完全に終わっています。
人生の終わりです。死ぬしかありません。

そんなとき、仏教評論家のひろさちやさんの本に出会いました。
ひろさんはいつも言っています。

常識なんて、くそくらえ
非常識に生きよ

僕はもはや常識の中では生きる資格のない人間でした。
人間失格です。

でも。

非常識になら、まだ生きられる

そう決意したのです。
決意といえばうそになります。
毎日、般若心経を読みながら、少しずつ、少しずつそういう気持ちを固めていったのです。

非常識なら、なんとかなるさー

そう思えたのです。
常識的には、廃人。
でも非常識的には、まだまだ伸びしろがある。

発想の大転換です。

その支えとなったのが、般若心経のメインテーマ、

「空」の思想

です。
次回は再び、「空」について、おバカな話をさせていただきます。