借金が800万円に。自己破産へのカウントダウン

精神病になり、山の中の病院に通っていた僕。
社会復帰したけど、僕が勤める会社はブラックばっかり。

怪しいヒーリンググッズや、押し売り、ねずみ講の広告記事を書いて、世をしのいでいた僕。

収入は病気前の4分の1。

バブルのクセが治らないのと、孤独で寂しく、
遊興費はかさむ一方。

失業を繰り返して、ついに失業保険も切れ、
生活費を補填するのに、サラ金に手を出しました。
10社ぐらいから、数十万ずつ借り入れ、
その額は、数年間で、800万円を超えました。

自己破産。

その恐ろしい言葉が脳裏をかすめます。
もし、自己破産したら、妻の折半で出しているマンションの権利は持っていかれる。
家族は家を失う・・・。

当時、娘は頻尿で、とてもビクビクした女の子となっていました。
やたら、臆病で、顔色も暗い。イジメにもあっていました。
教科書に「死ね」と書かれていました。

僕のせいです。
僕が娘にも地獄を味あわせませた。

自己破産したら、
家族はマンションを追い出される。
バブルの当時、5000万円以上をはたいたマンションです。

人生が終焉を迎えていました。

僕は引きこもり、毎日、ソファから窓の外の青空を眺める日々。
でも、借金の催促がとまるはずもありません。

飛ぶか・・・。

高飛び。
本当にそれを考えました。
まだ妄想もけっこうあったので、
怖い人に臓器を取られるという恐怖が僕を支配しました。

僕が豊島区の雑居ビルにある小さな弁護士事務所に駆け込んだのは、それからしばらくたった冬のことでした。

なけなしのカネで、駅前のラーメン屋に入り、ラーメンをすすったのを覚えています。

そして、弁護士にすがったのです。

「助けてください」

僕は眼光の鋭い初老の弁護士に泣きすがりました。

「800万か、ちょっと多いな」

弁護士はぶしつけな目で、僕を見ました。

絶対返します。だから、助けてください。
弁護士は、月に10万円の返済を約束に、僕を救ってくれました。

僕は弁護士の前で、
すべてのカードにハサミを入れました。

あれから、10年。

どうやって生きてきたか、覚えていないくらいです。
またまた般若心経から離れますが、次回は、悪人の救済をうたった親鸞という思想家のお話をしましょう。