般若心経は、お気に入りの1フレーズでよい

こんにちは。
まずおもしろいものをご覧いただきましょう。

これです。

犬目山 不動院 安養寺の絵般若心経

おもしろいでしょ。
絵心経といいます。

昔は、文字が読めない人も多かったから、絵で般若心経を伝えたのです。

般若心経というと、漢字ばっかりで読みにくく、何を言っているのか、さっぱりわからないという人も多いでしょう。

でも、漢訳を読みこなすことが般若心経の目的ではないのです。

昔の人は、紙切れやボロ布にお気に入りの一文字を書いても持ち歩き、ご利益を得ていた人もいるくらいです。

たとえば、般若心経の表題冒頭の「摩訶般若波羅蜜多心経」の「摩訶」という二文字だけでも壮大な宇宙を表しています。

摩訶

まか、と読みます。
これは比類もなく大きい、という意味です。
そうです。「摩訶不思議」の「摩訶」です。

比類もないというのは、人間の想像もつかない、という意味です。
仏さまの世界は、人間の想像もつかない世界なのです。

摩訶とは、ひとつの宇宙が始まってから終わるまでの時間。
あるいは、1辺に40里の城にケシ粒がぎっしり詰まっていたとします。この城の中から100年に1粒ずつケシ粒を取り出し、城の中のケシ粒が完全になくなるまでかかる時間、という表現もあります。

とにかく果てしないのです。

ですから、仏の世界では、
人間の善悪の基準などは、ハナクソほどの大きさもないのです。

ですから、仏教では、仏の道に生きる人間は、
そんなハナクソ的な価値観に、

しばられるな、
とらわれるな、
そんなちっぽけな価値観・常識など、
捨ててしまえ

というのです。
もうこれだけで、仏に救われます。

人間の価値観なんてしょせん、ちっぽけなものです。
問題は、その価値観にとらわれて、がんじがらめになることです。

もっと自由に生きろ、

そんなメッセージが冒頭から繰り出されているわけです。
もうこの二文字だけでも十分すぎる教えですね。